テレワークとは? テレワークのメリットと課題、解決のポイントを簡単解説

近年、少子高齢化にともなう労働人口の減少を背景に、政府が推進する「働き方改革」の1つとして「テレワーク」という働き方が注目を集めるようになりました。実際の普及率を見ても、平成30年にはテレワークを導入している企業の割合は19.1%まで達しており、ゆるやかながらも増加している傾向にあります。※1

今回は、そんな注目を集めている「テレワーク」について、企業にとっての導入メリットや課題、導入する上でのポイントを簡単にご説明したいと思います。

※1 総務省発表「平成30年通信利用動向調査の結果」より : https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/statistics/data/190531_1.pdf

テレワークとは?

テレワークとは、情報通信技術(ICT = Information and Communication Technology)を活用した、場所や時間にとらわれない柔軟な働き方のことです。※2 従来のようにオフィスに出勤せずに、インターネットやクラウドサービスなどを活用して仕事を行うスタイルのことを指します。

テレワークの分類
日本テレワーク協会によれば、テレワークは働く場所によって、以下の3つに分類されます。

  • 自宅利用型テレワーク(在宅勤務)

    自宅のインターネット環境からICTを活用して働くスタイルです。
  • モバイルワーク

    モバイルインフラ環境を利用し、取引先に駐在して仕事をしたり、新幹線での移動中やカフェに立ち寄って仕事をしたりと、オフィス以外で働くスタイルです。
  • サテライトオフィスワーク

    地方や郊外、または都心に設けられたサテライトオフィスで、ICTを活用して本社や支社で働く従業員や、他のテレワークで仕事をしている従業員とコミュニケーションをとりながら、業務を遂行するのがこのスタイルです。
    なお、サテライトオフィスは本社や支社といった通常のオフィスとは全く別のものであり、従業員の通勤時間を短縮し、遠隔勤務するための通信環境などを備えた「テレワークのためのオフィス」として設置されたワークスペースのことを指します。
※2 日本テレワーク協会「テレワークとは」より : https://japan-telework.or.jp/tw_about-2/

テレワーク導入のメリット

では、テレワークを導入することは、企業にとってどのようなメリットがあるのでしょうか。

生産性の向上

テレワークを導入することで、従業員の生産性向上を図ることができます。
たとえば、片道の通勤時間が1時間かかる従業員が週2日を在宅勤務にすれば、1週間に4時間の通勤時間を節約できます。営業社員が出先で営業書類を作成することができれば、資料作成のためにわざわざ帰社する手間がありません。

また、突然の訪問や割り込みもないため、まとまった大きさの仕事に集中して取り組むことができます。

実際、総務省が発表した「平成29年通信利用動向調査」によると、労働生産性向上を目的としてテレワークを導入した企業のうち、82.1%の企業がテレワーク導入により目的とする効果を得たと回答しています※3。こうしたデータからも、テレワーク導入は労働生産性の向上に効果があると考えられます。

※3 総務省「平成30年版 情報通信白書のポイント」より : https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h30/html/nd144320.html

事業の継続性確保(BCP)

社内でインフルエンザやノロウイルスなどの感染症が発生した場合、業務が一時的にストップしてしまうケースも考えられます。学校などでは、それ以上の感染を防ぐために学級閉鎖などの処置をとることもありますが、事業継続の観点から企業ではそのような処置がとれないのではないでしょうか。

そのような場合でも、テレワークを導入していれば従業員は出社することなく、リモートで業務を継続することができるため、感染症の拡大を防ぎつつ事業を継続させることが可能になります。

また、地震などの自然災害の際にも、テレワークを活用することで、オフィスの損壊や交通機関の混乱などに影響されることなく事業を継続できる可能性が高まります。

優秀な人材の確保・離職防止

テレワークを導入すれば勤務場所や時間に縛られない柔軟な働き方を提供できるため、多様な人材を採用することが可能となり、雇用の維持や拡大が図れます。

たとえば、サテライトオフィスや在宅勤務制度を設けることで、本社や支店から離れた場所まで採用募集エリアを広げることができます。同様に、従業員がUターンやIターンを希望した場合でも、テレワークを導入していれば勤務場所を理由とした退職の必要はなくなるため、優秀な人材の流出を防ぐことにもつながります。

また、育児や介護に携わる人達にとっても、テレワークは効果的な働き方となるため、育児や介護を理由に休職や離職をすることなく、活躍し続けてもらうことが可能になります。

テレワーク導入の課題

一見するとメリットの多いテレワークですが、一方で課題もいくつかあります。いくつか代表的なものを挙げてみましょう。

労務管理が難しい

フレキシブルな働き方であるテレワークにとって「労務管理」は1つの課題です。

たとえば在宅勤務中の社員のケースの場合、在宅中もずっと仕事をしているわけではなく、親の介護や子供の世話などで仕事を離れるときもあります。そのような場合、正確な就労時間を把握するのが難しくなります。また管理者から見えない場所で働いているため、正確な業務実態もわかりにくくなります。

コミュニケーションロス

従業員同士で顔をあわせて話をする機会が少なくなるため、社員間のコミュニケーションロスが発生する可能性があります。その結果、チーム内での綿密な情報共有が行われず、非効率になってしまう恐れがあります。

情報漏えいなどのセキュリティリスク

オフィスから離れた場所にデータや書類を持ち出すことになるため、社内のみで作業するよりも情報漏えいの危険性は高まります。外出先や移動中などでPC作業をおこなうモバイルワークの場合は、第三者に機密情報を盗み見される可能性や、モバイル端末の紛失や盗難によって外部に情報が漏れる可能性もあります。

また、BYOD(Bring Your Own Device: 私物端末の業務利用)で仕事をしている社員が端末のセキュリティ対策を怠っていた場合、ウィルスやマルウェアによって情報が漏洩してしまう危険性も否めません。

テレワークを導入するためのポイント

メリットも多いテレワークですが、課題もあるテレワーク。
こうした課題を解消するためにおさえておくべきポイントをいくつかあげてみましょう。

クラウド勤怠管理システムの導入

テレワークでは、従業員が働く時間や場所を自由に決めることができるため、上司や人事担当者が社員の勤務実態を正確に把握するのが難しくなります。
そのような課題を解決する1つの方法が、クラウド型勤怠管理システムの導入です。

たとえば、株式会社チームスピリットの提供する「TeamSpirit勤怠管理」は、Webブラウザやモバイルアプリなどから1クリックで出退勤の打刻を行うことができるため、テレワークや直行直帰と行ったワークスタイルの従業員でも手間を感じることなく簡単に打刻できます。また、従業員の出退勤データはクラウドで一元管理されますので、上司や人事担当者の勤怠管理業務の負担も軽減できます。

コミュニケーションとデータ共有のためのクラウドツール導入

テレワークの課題である「コミュニケーションロス」を防ぎ、本来の目的である生産性向上を実現するためには、クラウドツールの利用が欠かせません。テレワークで活用できるクラウドツールは様々ですが、とりわけ以下のようなツールの利用が効果的です。

  • グループウェア

    グループウェアとは、その名の通りグループでの業務を効率化させるためのツールです。メールやチャット、スケジュール管理、ファイル共有といった、チームで仕事をする上で必要な機能が備わっており、働く場所が違うことによって生じがちな情報格差をなくすことが可能となります。
  • チャットツール

    チャットツールは、従業員同士でコミュニケーションをとる上で非常に有用なツールです。一般的なメールとは異なり、宛先や件名を入力する必要もなく、1つの画面で会話形式でのやりとりができるため、リアルタイムでのコミュニケーションに向いています。また、1対1の会話だけではなく、グループ全員で会話を共有することもできるため、チーム内での綿密な情報共有もリアルタイムに行うことができますので、離れた場所で働くことによる情報格差を低減することができます。
  • WEB会議ツール

    クラウド型のWeb会議ツールを利用すれば、パソコンだけでなくスマホからでもインターネット経由で音声通話やテレビ会議を行うことができます。最近のWeb会議ツールは端末画面の共有や、ファイルデータなどの受け渡しもできるため、離れた場所にいても、まるで同じ場所で集まっているのと同じくらいスムーズなコミュニケーションが可能です。
  • リモートデスクトップ

    企業によっては、データの持ち出しを一切禁止しているところもあるのではないししょうか。そういうケースでも、リモートデスクトップを利用することで、テレワークを実施することが可能になります。リモートデスクトップでは接続先のPCにあるデータは持ち出さずに作業を行うことができるため、手元の端末にはデータが残らず、情報漏えいの心配もありません。

セキュリティ対策

テレワークの導入により、従業員がデータを外部に持出し、外部から社内システムにアクセスしたりすることになるため、セキュリの対策は必須となります。

セキュリティ対策として最も重要なことが「セキュリティルールの策定」です。テレワークを前提としたセキュリティルールを策定し、従業員にルール遵守を徹底する必要があります。

また、情報漏えいなどのセキュリティインシデントを防止するためのソフトウェアの導入なども検討しましょう。従業員のモバイル端末を一元管理できるOptimal BizのようなMDM(Mobile Device Management)を使えば、端末状況の把握やアプリの管理などを管理者がリモートで操作できるようになるため、運用負担をかけず効率的なセキュリティ対策が実現できます。

まとめ

いかがでしたでしょうか。
2020年の東京オリンピック・パラリンピック大会期間中は、国内外から多くの観光客が集まるため、都内を中心に大規模な交通混雑が予想されており、「テレワーク」はその回避策の切り札としても注目されています。
これからますます普及が進むと見込まれるテレワークについて、本記事が少しでもご参考になれば嬉しいです。

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